キャッシュレス化社会は誰が得するのか?

消費税の増税を前に消費者にはポイント還元のあるキャッシュカードの使用を促し、日本にキャッシュレス化の流れが起きています。スウェーデンや中国などキャッシュレス化が進み「日本は遅れている」「海外に負けるな」という声も聞きますが、キャッシュレス化は本当に得策でしょうか。また、キャッシュレス化していないことは遅れをとっていることなのでしょうか?

キャッシュカードはなぜ作られたのか?

そもそもキャッシュカード自体がなぜ作られるようになったかをご存知でしょうか。

それはアメリカで多発するようになった現金の盗難事件を防ぐための手段でした。

場合によってはキャッシュカードは便利なものですが、日本では盗難事件が少なく現金を使うことになんら問題のないのが現状です。問題ないどころか現金がただの電子データとなるより現金でやり取りする方が「お金」の重みや有り難みがわかってよい、特に子供の金銭感覚を養えるなどの利点があります。

キャッシュカード利用の裏で泣く事業者

ところで消費者がキャッシュカードを使うたびに事業者や販売店側が決済手数料をカード会社に支払っていることをご存知でしょうか。

事業者は売り上げの内の3.5〜5%程をカード会社に支払います。これは飲食店など販売価格が安くて原価の高いところでは相当の痛手です。弊店でも手数料のできるだけ安いカード会社との契約を検討したことがありましたが、利幅が小さいのでどうしても導入には至れませんでした。

単純に食事代が¥1.000だとしたら¥40ほどが手数料となります。たった¥40とお思いになるかもしれませんが、週に6日営業で毎日ランチでキャッシュカードを使う人が20人いたら一月で¥19.200負担することになります。本来なら手元に残るはずのものですが、年間にすると¥230.400を売り上げからカード会社に手数料として払わないといけないのです。

個人のお給料から年間¥230.400がなくなることを考えてみてください。相当痛手じゃないですか?

飲食店によりますが、ある飲食店経営者の先輩が言っていました。「月に100万円売り上げがあってもオーナーに残るお金は10万円ほど」だと。それくらいシビアな飲食業で売り上げからさらに手数料を持っていかれるとしたらたまったもんじゃありません。

「カード利用の買い物客にポイント還元」と言いますがカード会社が身銭を切っているわけではなく、実質事業者が支払った手数料から還元されていることになります。

つまりキャッシュカードの利用を勧めるキャッシュレス社会というのは事業者に負担のかかる社会システムなのです。

キャッシュカードを使うと誰が富むのか!?

主要クレジット会社は全てアメリカ企業です。「日本国民がカードを使えば使うほどにアメリカが富む」という仕組みです。

国民が一生懸命稼いだお金が簡単にアメリカに流れる社会仕組みとはいかがなものでしょう。国民にポイント還元とは子供騙しでキャッシュレス化は国益を損ないます。

(キャッシュカードだけではありません。現金を使わないで購買するほぼ全ての仕組みには、事業者がサービス会社に払う手数料が発生しています。例えば3年間は無料だと謳っていますがLine Payも同じです。Line Payの利用があるたびに店舗側はその売り上げのうちの数パーセントをLine(株)に支払うことになります。ちなみにLine(株)は韓国企業です。キャッシュレス化は個人店や中小の事業者に不公平な社会システムだと言わずにいられません。)

キャッシュレス化は先進性があるのか?

アメリカにATMが少ないのは盗難が多いからです。中国でキャッシュレス化が進んだ背景には偽札が多く紙幣に信用がないことや監視社会化が挙げられます。日本にはどこにでもATMがあって信用のある現金を引き出せます。考えてみてください。何かシステム化されることは先進性があるように一見思われますが、現代においても安心して現金が使えることの方が最も進んでいることだと思いませんか?

ちなみにキャッシュレス化は日本でも監視社会化を進める一手という見方もあります。

国民の消費活動のありようによって社会のあり方は変わります。敷かれた社会慣習にただ従うのではなく、今一度キャッシュレス化社会について考察してみませんか。

 

最後に・・・。

キャッシュレス化の潮流は止まりませんし、全く否定しているわけではありません。ブロックチェーンを基にした暗号資産が流通することのメリットは多くあります。それに対してではなく、「クレジットカードのポイントで増税分を還元する」という経済産業省の事業に対して電子マネーやクレジットカード利用が得策ではないという考えをまとめました。また、世界がもともとキャッシュレス化し始めたことの背景には盗難やお札の偽造問題があり、対して日本のこれだけ現金が安全で便利に使える状況は世界に誇れることでもあるので「遅れている!」と息巻く意見に対して書きました。ただ、暗号資産流通が当たり前になる時代が目前でありながら、日本企業がブロックチェーンをベースにした新しいサービスを開発し先手を取るという話が聞こえてこないのは残念です。技術がありながらIT革命では時代の潮流に乗り遅れアメリカの企業ばかりにマーケットを取られてしまいました。Fintechはもう起きています。序盤でどれだけ先手を取るかがキーであるはずです。日本からはユニコーン企業は現れないのでしょうか・・・。安全な現金文化も残しつつ、ブロックチェーンの世界では日本が一躍してほしいと考えています。

 

 

 

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2019年04月07日 | Posted in コラム, 環境・社会問題 | | Comments Closed 

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