ろくろ舎の物作りの視点がおもしろい!「価値の再定義化」ってどんな!? -トキメクモノ探し 福井旅 vol.3-

トキメクモノ探し、福井旅の話(まだ続きます・・)。

トキメクもの探しとは♫

「自分はこういうものが好きなんだ」「こんな生き方や思想に興味があるな〜」

トキメクモノ探しは自分の感性を刺激し、どういうものが自分の心を動かすのかを発見することです。

何かを見て触れてそれが美しいと思ったら、そんな美しさがあなたの中にもあるということ。面白いと思ったら、そんな面白さがあなたの中にもあるということ。

だからトキメクモノ探しは自分の中の宝探し。自分の中にどんな美しさや面白さが埋まっているのかを発見する。そして何にも制約されない「自分の素の部分」と向き合うことなのです。

福井旅をヒントに皆様も是非、トキメクモノ探しをしてくださいね!

 

ろくろ舎と漆器

フォトグラファーのルイちゃんに連れて行ってもらった「ろくろ舎」。クリエイティブなプロダクト制作が面白い工房ですが、ベース業は「漆器作り」です。

漆器は分業でいくつかの工房を渡ってできるものらしい。原木から器の「型」を作る人がいて、次に型を「椀の形」に作る人、椀に漆のベースを塗る人、仕上げの上塗りをする人、とそれぞれに専門家がいる。ろくろ舎は「ろくろ」という機械を使い、木地(漆を塗る前の器)を作る工房です。ろくろを回し、ノミで削って器の型を作ります。漆自体が高価であるとも聞きますが、器が分業の数だけ工房を渡るため、漆器の価格が高く付くのは納得です。

ろくろ舎の写真ギャラリー ⬇️

 

スタッフの服部ちゃん。

何種類も変わった形のカンナを使い分けていました。なんとカンナは、自作しているそうです。一般的なもの以外に、ろくろ舎の器作りに必要な形のカンナを作ります。木を削るだけでなく、鍛冶仕事もこなすのでした!

西洋製の道具を使うと荒削りになるんだそうです。手で鍛治して作った和の道具を使うと器の表面が滑らかに仕上がるそうです。

木地制作の写真ギャラリー ⬇️

 

「価値の再定義」を象徴する工房

写真内の左の男性、オーナーの義夫君には「価値の再定義」という物作りのコンセプトがあります。

工房自体がその象徴と言えるかもしれません。工房では「ゴミ」と呼びながら「イイでしょっ?」と、ちょっとした宝物扱いするものを多数コレクションしていました。拾って来たもの、海外の中途半端な作業レベルで手作りされたもの、空き瓶のように本来の役目を終えたもの、作りかけて諦めたもの、木の端材。

コレクションの中には本当にオブジェや絵などアートとして売られていたものもあって、ゴミがそれらと同等に肩を並べているのでした。そのゴミであるはずの物の並びがすごく面白かった。つい「これイイね!!」と顔を輝かせながら手に取ったりして、時間があっという間に過ぎました。

ろくろ舎のGOMIギャラリー (→ゴミをローマ字にしてみた)⬇️

 

伝統的な漆器以外も作ります


(→この写真はろくろ舎HPのものです)

漆器以外にも様々なプロダクト制作をして来ました。「土に還るもの」というテーマで制作される”Timber Pot”は、杉の間伐材が原料です。丸太の状態から作られます。写真は前回の福井旅の記事で紹介したataWとのコラボ作品、寄り添うペアグラスの木材バージョンです。

また、例え椀であっても北欧デザインテイストなものがあったりと斬新です。
下の写真は、物作りのコンセプトを共有する企業とコラボした作品の一部です。

ろくろ舎のサイトより拝借して紹介。クリックすると拡大します⬇️

 

カッコいいだけじゃない、ピアス”SOU”


(→この写真はろくろ舎HPのものです)

漆器業が衰退し始めた頃、福井では安価な業務用漆器の製造が盛んになりました。原料はプラスチックで、機内食用、病院用、給食用などです。

業務用漆器がスプレーで色付けされる時に、その塗料が板の上に積層します。薄い重なりが幾重にもできます。現在義夫君はその板を丸く切り抜きピアスを制作しています。作品名” SOU”、すごくかっこいいです!

本来は廃材になるものから作られたもの。表面の塗料を部分的に剥がしたり割ったりして、下の重なりの色を覗かせます。その表情が不思議と鉱物混ざりの石に見るような模様だったりする。二つとして同じものはできません。

福井の伝統や特産品を物語り、同時に「価値の再定義化」を表現する面白い方法だと思いました!

クリックすると拡大します⬇️

滋賀県のショップNOTAでポップアップ販売しています(4/7~22)
http://rokurosha.jp/news/news01.html

 

作品名は必要か??

確かに物作りの背景にはコンセプトや想いがあり、それを人に説明して来たわけですが、当然のように「なぜそれを作ったか」を問われる時、「なんとなくこのフォルムが好きだからというような、感覚的なものだけで物作りをしたらダメなのか」「作品名は毎回必要なのか」などと最近はよく考えるそうです。作品名は単純に記号的に「No.01」とか「No.09」とか、あるいは「器の口径のサイズ」とか、そんなものでも良いのでは・・・。

確かに作品のコンセプトを語り名前をつけることで作品を定義づけ、手に取る人の感じ方を限定してしまうことはあるかもしれない。

そして何か作品を見る時、それを「美しい」と感じたことに理由は不要であるように、物作りにいつも理由や意味を求めるのはナンセンスだと私も思う。

手に取る人はそれぞれに「自由に感じること」自体をもっと楽しんだらいい。

例えば「なんかこれ楽しい!」「なんとなくめっちゃいい!」というように曖昧でもいい。物の面白さや魅力を誰かの言葉で解釈しない。

「作品の意味」はどうでもよくてあるとするなら「手や心の感触で感じること」に意味がある。

世間にというと大げさかもしれないが、「人それぞれの感覚を味わおうよ!」「何かをただ感じることが楽しいんだ」と、作品を見る側にそう訴えたい気持ちが彼の中にあるのかもしれない。

 

美しいものが世の中を変える

でもやっぱり。私もなんやかんや言いながら・・・。ろくろ舎の物作りのコンセプトは語られるべきだと思います。なぜかというと、作品を手に取る人は物作りの背景を知ることで作品により価値を見出し、その人の中に思い入れや愛着が生まれるからです。何かを大切に愛おしみながら丁寧に過ごす時間が増え、心豊かな暮らしに変わります。

そしてもう一つの理由は、ろくろ舎のコンセプトが、ファストファッションをもてはやすマジョリティーに対する良きメッセージになるからです。

「土に還るもの」で物作りをしようとか。職人によって自然素材で手作りされた物には温かさがあるとか。消費サイクルの早い工業製品で埋める生活空間より、丁寧に手作りされた物が暮らしを彩るとか。長く日本に受け継がれてきた文化があることとか。物を再定義する視点を持つ面白さとか。

世の中には物作りをする側の人より、消費者の方が圧倒的に多いわけですが、物作りの視点を示すことで消費者の審美眼が育つと思います。

消費者が「本当に美しいもの」を選ぶようになると、世の中は私達がもっと心豊かと感じられるものに変わります。精神性の高いものが増え生活様式の質は上がります。

なぜなら職人技術を活かし真心で作られるもの、物作りの背景を大切に技術を磨く人、ろくろ舎のように独自の視点で創作する人とそれを支持する人が増えるからです。自然と「持続可能」なものが増え、消費サイクルの早い無駄なものが少しは減ったりもして。そうやって私たちの文化が育っていくのだと思います。

 

ろくろ舎とフォトグラファーの情報

独自の審美眼を持ち信念を貫いて物作りをする義夫君の生き方に憧れます。伝統を活かしながら今にも愛されるものを創ることは、大変難しいイメージがありましたが、ろくろ舎は可能性に満ちています。今後また、どんな面白いものが創り出されるかが楽しみです!

読者の皆様はどうですか、ろくろ舎との出会いの中に刺激されたことや発見したこと、ありました?

ろくろ舎

http://rokurosha.jp

↑ネットショップもあります!!

〒916-1221福井県鯖江市西袋町512
Tel. 0778-42-6523 Fax. 0778-42-6524
E-mail info@rokurosha.jp

ROKUROSHA FACTORY&STORE
営業日:日曜日
営業時間:11:00-19:00[/box]

 

フォトグラファー 出地 瑠以

http://www.cocoon-photo.com/
1983年福井生まれ。
東京とハワイでの活動を経て、現在は拠点を大阪/福井に移し活動中
FLATという文化創造塾の運営メンバー
結婚式を創るユニット、HOPESのメンバー

筆者の福井旅の案内人
ろくろ舎のHP用(→not all)、DM用のの作品撮りをしています
ピアス”SOU”をつけた女性の顔の写真は、ルイちゃんが撮影したものです

ブログのギャラリー写真は筆者の素人撮影なのでお間違いなく!!

 

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