広島に太陽が落ちた。「戦後」はまだ終わっていない。

原爆は人類史上最大最悪の爆撃

最近起きた誰の記憶にも残る悲惨な事件といえば「京アニ事件」ですが、33名もの命が奪われ全国民が戦慄を覚えたと思います。今自分達が生きているこの時代に起きていることとしてテレビで映像を見れば、当事者の程にわかることは決してなくとも、その恐ろしさを想像し心を痛ませご冥福をお祈りしますよね。本日は終戦記念日ですが、よく考えてみてください。原爆の被害者だけでもこの事件の何千倍いるんですよ。非戦闘員であっても戦争に巻き込まれることがあるとはいえ、広島・長崎ではもちろん「非戦闘員」である一般民衆があえて原爆の対象となり、合わせて約21万人の方がなくなりました。原爆症で苦しんで亡くなった人を含むとその倍以上とも言われます。人類が経験した最大最悪の爆撃です。

 

戦争だからといって、一般民衆は本来爆撃されない

当時の国際法でも戦闘手段について「不必要な苦痛」を与えてはいけないと禁止されていますが、原子爆弾は生涯に渡り原爆症という苦痛を与えるものでした。また、国際法では「一般住民と非軍事施設を保護するため無差別の攻撃を禁止する」規定を設けていますが、米軍の「第509混成軍団ー作戦計画の要約」という資料には原爆投下に際して軍事施設を目標とした事実はなく市街地を中心に据えています。広島を攻撃に選んだ理由として「広島が無傷であり」「原子爆弾が与える被害を正確に評価するために必要であった」と書かれているそうです。原爆目標地であったために事前の空爆も禁止されていたくらいです。長崎も同様です。

もう一度言いますが、非戦闘員である一般民衆は爆撃されてはいけないのです。もちろん10万人が命を落とした東京大空襲なども国際法違反です。

 

脱敗戦アレルギーは一つの日本の未来の鍵

GHQによる徹底的な検閲や圧力により戦争を直視し論ずることなく今に至り、戦争が風化しつつ現在様々な問題を内包しつつも平和に見える日本ですが、当時何が起きたかを振り返ることなしに本当に日本人が真の幸福を掴むことはないように思えます。敗戦アレルギーのまま戦中、占領時代に何があったかを直視しないで日本の未来を語ることはできません。

戦争をまともに論じてはいけない戦後に作り出された空気はGHQのWGIP(War Guilt Information Program)によるものです。徹底的に日本人の心に戦争に対する罪悪感を植え付ける政策や宣伝計画がとられました。国際法をもってもどう頑張っても正当化できない非人道的すぎる原爆投下を受けたにも関わらず、日本は先の大戦の主犯格にでっちあげられずっと頭を下げているのです。真実が語られることなく文化、伝統、精神、歴史を忘れるよう策がとられ、日本人はあまりに多くのものを失いました。

歴史を振り返ることは何のために生きていきたいか、どのように生きていきたいかと思索することでもあり、個々人の幸福感にも関係してきます。日本人なら誰しも、今知らないで無意識に持っている価値観、思想、スピリット、正義(に見えるもの)が、戦勝国に都合よく、それはそれは巧妙に植え付けられたものである可能性が、必ずと言っていいほどにあると思います。「戦後」は終わっていません。歴史に触れた人にしか分からないけれど、あまりに自虐的であるように仕向けられてきた日本人が本当に強く前を向いて生きるために、一人一人の「幸せ」に関係していることなのでぜひこの機会に戦争を振り返ってほしいと思います。

同時に、日本の過去の失敗や過ちはそれはそれで反省をしつつも、あまりに狡猾で非人道的でしたたかな国際社会の現実を知ることも、今後の日本の未来を考察するためには必要です。お花畑な正義論をかざして、あるいは国際社会を知らないで「人が良すぎる」日本人によって、日本を窮地に落とし込めるようなことがあってはならないからです。

 

太陽の内部温度に匹敵する原爆

義務教育では近代史は駆け足で過ぎ、どっちみち教科書にも大したことが書かれていなかったと思いますが、とにかくきちんと戦争を知る機会がありません。広島に投下した原子爆弾についてですが、高度およそ5キロ地点で爆発し、炸裂直後の火の玉の直径は約100メートル。驚愕的なのはその温度で数百万度から1000万度と、太陽の内部温度に匹敵します。重さ4トンの爆弾「リトルボーイ」自体が瞬時にして気化してガスになりました。火の玉の衝撃波は秒速90メートルで膨張し、広島市街地をすぐさま呑み、地面では秒速350メートルで広がり家屋を吹き飛ばしていったのです。同時に発生した熱線は光の速さで地面に到達し、1000度の高温に達したとみられています。その後巨大なきのこ雲が形成され、爆発後から1分後には高さが9000メートルまで達したそうです。

 

原爆はなぜ投下されたのか

そんなおぞましい原爆がなぜ二度も投下されたのか。「日本が原爆投下で降伏することで終戦を早め100万人もの米兵を救済した」というのがアメリカの公式見解です。しかしいくつもの矛盾があります。原爆投下がなくとも日本はソ連を仲介役とし(ソ連は仲介どころか、日ソ中立条約を結んでいたにも関わらず日本への侵攻を決めていましたが・・・)間も無く降伏するタイミングであったことをアメリカさえも知っていました。しかも事実結果的に終戦を早めたのはソ連侵攻でした。また、アメリカ軍が戦時中に作戦計画書の中で日本侵攻作戦が行われた場合の死者の予測が4万〜4万6千人で、戦死するかもしれなかった米兵の数は100万人には到底達しないのでした。しかし原爆投下の正義、正当性はアメリカの公式見解で教科書にも書かれていて信じられています。ただし被害者数は偽っていて実際の半分ほどとされています。

トルーマン大統領の側近であったリーヒ元帥の回想記録には「広島と長崎で使ったこの野蛮な兵器は対日本戦に実質的には役立つようなものではなかった。日本の敗戦はすでに明白であり降伏の用意もできていた。」と述べています。

また、全米キリスト教会連邦会議のサミュエル・M・カバート事務総長から原爆の非人道性を指摘する電報が届くとトルーマン大統領は「獣に対処するには相手を獣として扱うしかない。大変残念なことだが真実である。」と述べていて、トルーマンはこの一文からも非人道的な行為と自覚しつつ行使したことが読み取れます。

一連のことは当時の軍や政府の公開・非公開資料、関係者の日記など第一次資料から細かく事の経緯をたどり、竹田恒泰氏が整理しているのでその著書をぜひ手に取っていただきたいのです。

また、先に少々触れたように戦後の占領下おける徹底した言論統制は今の日本の一人一人に思想的に精神的に深く影響を残しています。ぜひ京都大学の中西輝政名誉教授の著書を手に取り、それについてもぜひとも考察いただきたいです。

 

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「アメリカの戦争責任」戦後最大のタブーに挑む 竹田恒泰著

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2019年08月15日 | Posted in コラム, 環境・社会問題 | | Comments Closed 

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